
酒造りには多くの工程があります。現在では多くの機械や装置が導入され、作業の効率化を図る酒蔵が増えています。弊社でも精米機はもちろんですが、洗米・醪圧搾など出来上がるお酒の品質に影響を与えない工程については機械・装置に頼っています。しかし、麹造りや酒母造りは人の五感や経験がお酒の出来上がりに大きな影響を与えます。
麹かびや酵母菌といった酒造りに必要な微生物を常に身近に感じることが、酒造りにとっては絶対に必要なことと考えます。手をかければ微生物はそれに応えてくれます。
また、手造りにこだわることは、技術の伝承に不可欠です。搾りあがった新酒の味わいを確かめるとき、杜氏や蔵人は各工程での作業の様子を思い起こします。
手造りであるからこそ、酒を造ることの歓びが大きいのです。私たちはこの歓びから生まれる日本酒を皆様に味わっていただきたいのです。
杜氏は若手に技を伝授します。
しかし、ただ単に教わるだけでなく、技を盗み、守り、壊し、
新しい伝統を創ってほしいと願っています。
酒造りは奥が深く、蔵人たちは数年がかりで酒造りの入口に立ち、
また幾年もの歳月をかけて酒造りを理解してゆかねばなりません。
私たちは、人が自然とともに酒を醸す蔵です。
霊峰白山から湧き出る伏流水と加賀平野に実った良米により、
天狗舞の酒は醸し育まれます。
それを忘れずに、
過去から現在へと継いできた技を、そして酒造りの喜びを、
私たちは次代へ継承し、連綿と酒造りを続けてゆきたいと思います。