精米は丁寧にそして時間を掛けて行われます。精米においても、熟練した技能が必要とされます。 天狗舞では、蔵の想う最良の精米を行いたいため、入荷した玄米全量を自社精米機にて精米しています。 磨かれたお米は、数週間の時を経て洗米されます。洗米においては秒単位の管理が必要とされます。 そして、米は昔ながらの和釜と甑により蒸されます。この一連の流れは、米への愛情を込めて行われます。
麹とは米に麹菌を繁殖させたものです。麹に生えている麹菌が造り出す酵素がお米を糖化します。 天狗舞の麹は、全て手造り。微生物の麹菌と対話をするかのように、麹造りは行われます。
もろみの発酵のもとになる優良酵母を育てたものを酒母といいます。 この優良酵母によって、もろみでは健全な発酵が行われます。天狗舞では、多くの酒が山廃酒母にて醸されています。
蒸米と麹と水に、酒母を加えて糖化と発酵を行わせる物をもろみといいます。もろみは三段階に分けて仕込まれます。 約一ヵ月間、もろみの声を聞き、状貌を見つめながら育みます。そして、もろみは徐々に酒へと姿を変えていきます。
上槽(酒をしぼること)することにより、もろみは清酒と酒粕に分離されます。数か月に渡って精米からの長い道のりをたどって来た酒米は、こうして一滴ずつ酒に生まれ変わります。
出来上がった酒は、持てる力の全てを出し尽くした蔵人にに見送られ、自然と時間の流れに身を委ねます。酒は静寂の蔵内で熟成し、じっと待ちます。酒はやがてゆっくりとまろみを帯び、馥郁とした香りをまといます。眠りから覚めたとき、ようやく「天狗舞」となります。